文月(7月)
書道の上達を祈って、短冊に歌や願い事などを書く、七夕の行事にちなんだ呼び方「文被月(ふみひろげづき、ふみひらきづき)」が由来とされています。
他にも、収穫が近づくにつれて稲穂が膨らむことから「穂含月(ほふみづき)」「含月(ふくむづき)」、稲穂の膨らみが見られる月であることから「穂見月(ほみづき)」とする説もあります。


~二十四節気~

7日 小暑
梅雨が終わり蝉も鳴き始め、暑さが本格的になる頃です。一方で、集中豪雨が多く発生する時季とも言われます。

23日 大暑
梅雨明けの時季で、一年でもっとも暑さが厳しく感じられる頃です。体力を保つために鰻を食べる「土用の丑」やお祭り、花火大会も行われ本格的な夏といえます。

伊勢神宮奉納全国花火大会
伊勢神宮に花火を奉納する唯一無二の大会です。
そのため花火の打ち上げも「打揚」でなく「放揚」といいます。これは花火を「奉揚」するという意味が込められています。参加する花火師は、大会前に神宮を参拝します。
「競技花火大会」であると同時に、全国的にも早い時期に開催するので、花火師にとって神宮に花火を奉納し、一年の安全を祈願する場ともなっています。
第1回大会は、第59回神宮式年遷宮を奉祝するために昭和28年10月17日に行われ、北白川房子祭主をお迎えし、全国有数の権威ある花火師51名が参加しました。
残念ながら令和4年度の開催は中止となりました。


~伝統行事・風習~

2日 半夏生
1年のうちで昼間の時間帯が最も長くなる夏至から11日目の7月2日頃から七夕までの5日間を言います。江戸時代の農民たちが大切にしてきた雑節のひとつです。
この時期に「稲がタコの足のように根付きますように」という願いを込めて、タコを食べる風習や、香川県では、田植えの労いとして、収穫した麦でうどんを打って、食べるという習慣があります。

7日 七夕の節句
夏の風物詩の一つ「七夕」。
日本古来の「棚機津女(たなばたつめ)」と中国の「乞巧奠(きっこうでん)」が結びついたものです。
中国では古くから、牽牛(けんぎゅう)星が農事を、職女(しょくじょ)星が養蚕や糸、針を司る星として信仰されていましたが、後漢(30~220)以後、天の川を隔てて対する二つの星の恋の伝説が生まれました。一方、古来日本には、棚機津女が人里離れた水辺の機屋にこもり、そこに神を迎え禊で穢れを祓うという信仰がありました。
これらの信仰を融合してできたのが七夕祭りです。
この伝説にあやかって、裁縫や技芸の上達を願う乞巧奠(きっこうでん)が宮中などで広く行われました。7月7日の夜、庭先の祭壇に五色の糸や針、果物などを供えて星に祈りを捧げます。
現在でも五色の短冊に願い事を書き、紙や布などで作った様々な飾り物を竹に飾る風習が残っています。

七夕飾りは七種類あり、それぞれに意味や込められた思いがあります。
【吹き流し】
機織りやお裁縫の上達を願う飾りです。かつての宮中儀式で、五色の糸を長い針に通してお供えしていたものを、紙で表現しています。

【くずかご】
清潔、倹約を意味しており、七夕飾りを作るときに出た紙くずを入れて飾ることもあります。

【網(あみ)飾り】
漁業の網(あみ)から生まれた飾りで、大漁を祈願しています。

【折鶴】
家内安全や、長寿を願う飾りで、千羽鶴にする場合もあります。

【巾着(きんちゃく)】
金運の上昇や、貯蓄を願って飾ります。

【紙衣(かみこ)】
折り紙で作った人形や着物の形のもの。裁縫の上達を願うほか、病気や災いの身代わりになってもらうという意味もあります。

【短冊】
「五色(赤・黒(紫)・青・白・黄)の短冊」に願い事を書いて飾ります。

おかげ横丁でも、毎年7月7日に合わせ七種類の飾りをつけた笹飾りを町全体に飾り「七夕の節句」をお祝いしています。

素麺(そうめん)
暑くて食欲がない日でも食べやすいそうめんは、七夕の行事食です。
そうめんの歴史は奈良時代まで遡ります。中国では、7月7日に小麦粉をベースに、縄のような形状で編んだお菓子「索餅(さくべい)」を食べると「1年間無病息災で過ごせる」という風習がありました。日本には奈良時代に伝わり、同じ小麦粉をベースにつくった「そうめん」へと次第に変化していったといわれています。
また、機織りに使う糸に似ていることから、「機織りが上手になりますように」と願いながら食べれると、織姫のように「機織り(芸事)の腕が上達する」ともいわれています。

土用
土用というと「土用の丑の日」を思い浮かべる人も多いと思いますが、年に4回訪れる、立春・立夏・立秋・立冬の直前の約18日間を指し、それぞれ「春土用」「夏土用」「秋土用」「冬土用」と呼ばれています。
「土旺用事(どおうようじ)」が省略された言葉で、季節の変わり目であるこの期間は、土の気が旺(さかん)になるそうです。
日本では、丑の日を特別な日とする習慣があり、特に梅雨明けに重なる夏の土用の丑の日は、重要な日とされています。この日は、体をいたわり精が付くものを食べることが行われてきました。「う」が付くもの(どん、瓜、梅干し、うなぎ)を食べると夏負けしないという言い伝えがあるほどです。