7月に食べる行事食を紹介します。


そうめん
7月7日の七夕の節句の行事食は「そうめん」です。天の川や織姫の織り糸に見立てられているとも言われていますが、中国の「索餅(さくべい)」という小麦粉料理がルーツと言う説もあります。「索」は太い縄、「餅」は小麦粉と米粉を混ぜ合わせたものを意味するそうです。
日本には奈良時代に伝わり、麦の収穫期に麦餅を作る風習とともに宮中行事に取り入れられ、庶民に広がっていきました。その後、時代を経て、索餅はそうめんへと変化していきます。
また、七夕の節句は麦の収穫祝いもかねており、そうめんを食べると無病息災で過ごせると伝わっています。
中国の伝説では、帝の子が7月7日に亡くなり、その後、疫病が流行りました。これは、その霊が流行らせと言われ、その子が生前好きだった索餅を供えることで病の流行はおさまったそうです。
この故事により、「7月7に索餅をお供えして食べると、一年間流行病にかからない」という言い伝えが生まれ、日本にも根付いたと言われています。


暑気払い
暑気払いとは、「暑さをうち払う」ために体に溜まった熱気をとり除くことです。昔ながらの定番は冷麦、そうめん、ビール、瓜(西瓜・胡瓜・冬瓜・苦瓜・南瓜)、氷(かき氷・氷菓子・氷料理)、甘酒などです。

甘酒
正月や冬の寒い時期の飲み物と思われがちですが、季語は「夏」です。
江戸時代には庶民の間で夏場の栄養や水分を補給するものとして広く飲まれていました。米を発酵させて作る甘酒は、アミノ酸やブドウ糖、ビタミン類が豊富に含まれています。また、麹から作る甘酒には食物繊維やオリゴ糖が腸内環境を整えると言われています。
おかげ横丁にある造り酒屋「伊勢萬内宮前酒造場」では、夏場は冷たい甘酒を提供しています。


土用
雑節の一つで、現在は夏の土用が有名ですが、年に4回訪れる立春・立夏・立秋・立冬の直前の約18日間のことを言い、それぞれ「春土用」「夏土用」「秋土用」「冬土用」とも呼ばれています。
「土旺用事(どおうようじ)」の略で、その意味は「土が旺(さかんに)なり用事(働き)をする」という言葉です。
夏の土用では、うなぎや梅干し、瓜、うどんなど「う」がつく食べものや、あんころ餅(土用餅)や土用しじみなどの「黒いもの」を食べると良いと言われています。

うなぎ
江戸時代に一般に広がった風習です。一説によると「夏に売り上げが落ちる」と鰻屋から相談を受けた平賀源内(蘭学者)が店先に

「本日丑の日」
土用の丑の日うなぎの日
食すれば夏負けすることなし

という看板を立てたことで大繁盛したと言われています。
うなぎには、ビタミンAやビタミンB群など、疲労回復や食欲増進に効果的な成分が多く含まれているため、夏バテ防止にはピッタリの食材と言えます。

土用しじみ
「土用しじみは腹薬」「土用の前のしじみは美味い」と言われ、土用にうなぎを食べる習慣より前から食べられていたそうです。
夏のしじみは産卵前で身が太っており、ぷりぷりとした食感が楽しめます。
胃腸を整え、夏バテ予防にも良いとされています。

土用餅
土用に食べるあんころ餅のことです。
宮中で、暑気あたりをしないよう、ガガイモの葉を煮出した汁で餅米の粉を練り、丸めた餅を味噌汁に入れたものを土用の入りに食べるという風習がありました。江戸時代になると、餅を小豆餡で包んだあんころ餅に変わります。お餅は力餅、小豆は赤色が魔除けに通じるため、土用餅を食べると、暑さに負けず無病息災で過ごせるといわれていました。

いずれも蒸し暑い日本の夏を乗り切るための、先人の知恵といえます。
夏バテや熱中症に気を付けながら楽しい夏を過ごしましょう。

※日本の行事・暦、行事と食事などを参考に作成しています。