9月に食べる行事食を紹介します。


菊酒
菊酒は日本酒に菊の花を漬けたお酒で、厄除けや長寿を祈願し旧暦9月9日の「重陽の節句」に菊の香りを味わいながら飲んでいました。
中国で生まれたお酒の愉しみ方で、日本に伝わったのは平安時代です。
本来は菊を漬け込んで作りますが、お酒に菊の花びらを浮かべてみるだけでも良いと言われています。

重陽の節句
9月9日は五節句の一つ「重陽の節句」です。
他の五節句に比べるとあまり馴染みがありませんが、平安時代初めに中国から伝わった行事で、菊の花を飾ったり、菊の花びらを浮かべたお酒を飲んだりして長寿や無病息災を祈願します。
中国では、奇数は縁起の良い陽の日としており、奇数の重なる日を祝いの日と考えていました。陽の日の最大値である「9」が重なる日を「重陽」と呼び、節句の1つにしたといわれています。
旧暦9月9日は現在の10月中旬ごろ。菊の花が見ごろを迎える時期です。中国では、菊は邪気を払う力を持っているとされ、それが日本にも伝わりました。

栗ご飯
重陽の節句は庶民の間では、栗の節句とも言われ、栗ご飯を食べ、秋の収穫をお祝いしました。
栗は、「山の新米」と呼ばれるくらいに栄養価が高い食べ物です。風邪予防や美容に効果のあるビタミンCと疲労回復に効果のあるビタミンB1が豊富に含まれています。他にも、鉄分や亜鉛、食物繊維、血をつくるといわれる葉酸などの栄養素が多く詰まっています。

秋茄子
奈良時代に日本に入ってきた茄子。焼く、炒める、揚げる、蒸す、漬けるなど、どんな調理法でもおいしくできます。
「秋茄子は嫁に食わすな」という諺の解釈は諸説あります。
秋茄子は皮が薄く香りもよくとてもおいしいのでお嫁さんに食べさせたくないと意地悪な姑さんの気持ちと、秋茄子は体が冷えてしまうのでお嫁さんの体を労わる優しい姑さんの気持ちを表現しています。また、嫁は夜目=ねずみのことで、ねずみに食べられるなという意味だとする説もあるそうです。

月見団子
平安貴族の間で広がりを見せた「十五夜」。「中秋の名月」として親しまれています。こ
の十五夜の日に、団子を供える習慣が定着したのは江戸時代。十五夜が穀物(お米)の収穫時期に重なっていたため、お米の粉で月に見立てて作った団子を供え、お米が無事に収穫できたことに感謝し、次の年の豊作を祈願しました。
当時、信仰の対象が月で、月神である月読命(つきよみのみこと)が農耕の神でもあったためと言われています。
昔の人々は、供えた月見団子をいただくことで、月の力を分けてもらい、健康と幸せを得ることができると信じていました。

おはぎ
おはぎは、日本各地で親しまれています。
古くから小豆の赤色は邪気を払うものとされ、様々な行事食に取り入れられてきました。春と秋の彼岸に「おはぎ」がお供えされるようになったのも、魔除けの効果がある小豆と、当時はまだ貴重だった砂糖を使った料理をお供えすることで先祖に感謝の気持ちを伝えることにつながると言われています。
名前の由来は諸説ありますが、秋に咲く萩の花に見立てたそうです。

※日本の行事・暦、行事と食事などを参考に作成しています。