5月に食べる行事食・食べ物を紹介します。


柏餅
関東では「跡継ぎが途絶えない」「子孫繁栄」として、縁起の良い柏餅を端午の節句に食べます。
元々は、江戸時代の5月中旬~7月上旬頃にかけ各集落で子どもたちが主役の「田の神祭り」の際に、縁起の良い物として食べられていたのが始まりです。
昔から柏の木には神様が宿るとされており、新芽が出ないと古い葉っぱが落ちないため、「家系が途絶えない」「子孫繁栄」「跡継ぎが絶えない」などの象徴でした。
また「かしわもち」を包む手つきは、神前で拍手を打つ姿にも似ていて、武運を祈願する餅として親しまれてきました。
西日本には柏の木が少ないため、サルトリイバラの葉で包む地域もあります。

粽(ちまき)
関西では、魔よけの意味が込められた「粽」が端午の節句の行事食です。
中国の故事が由来とされ、災いを避けて子どもが無事に育つようにという願いが込められています。
日本では、平安時代から親しまれており、かつては神聖なものとして厄除けや食物を包むのに使われていた「茅(ちがや)」の葉で巻いていたことからその名で呼ばれるようになりました。

新茶
八十八夜に摘まれた「新茶」は最も上等とされ、栄養価が高く、縁起の良いお茶と言われています。その年の最初に新芽を摘んで作られたお茶を「一番茶」と言います。一般的にはこれを「新茶」と呼び、その後「二番茶」「三番茶」と続きます。

初鰹
江戸っ子の間では「初鰹」を食べるのが粋の証。初鰹を食べると長生きできると大変珍重されました。
鰹は温暖な海域を好むため、太平洋周辺が生息地です。卵から孵化した稚魚は、春頃に餌を求めて北上し、成魚へと成長していきます。この北上の最中に水揚げされたものが「初鰹」です。従来はその年に初めて水揚げされた鰹のことを指していましたが、近年では春~初夏に水揚げされる個体全般を指す呼称となりました。別名「上り鰹」ともいいます。
身がしまっているので弾力が強く、歯ごたえを楽しむことができます。