12月に食べる行事食・食べ物を紹介します。


お餅
お米を食べる習慣のある日本では、稲や米は生命力が強くなる神聖なものと考えられていたため、ハレの日に縁起の良いお餅を食べていました。年末にお餅つきをするのは、新年に飾る鏡餅を作るためです。歳神様にお供えする鏡餅には、神様が宿ると考えられているため、お供えしたあとは、感謝していただくとご利益があると言われています。

かぼちゃ
二十四節気の一つ「冬至」は、一年で一番太陽が出ている時間が短く、夜である時間が長い日です。この日は、名前に「ん」が多く入っている食べ物を食べることで運がつくと考えられています。
栄養価が高く長期保存できるかぼちゃは、野菜不足の時代に冬を乗り越える重要な食材であったため、風邪をひかないようにと願いを込めて冬至に食べられていました。
ビタミンA、C、鉄分、カルシウムなどが含まれ、風邪予防にぴったりです。また、夏に育ったかぼちゃを冬に食べることで夏のエネルギーを補給しようと考えられていたそうです。そんなかぼちゃを使った「いとこ煮」は、もともとはお盆やお正月、祭礼の際に神様に供えた食材を寄せ集めて煮て食べたことがはじまりです。地域によって煮込む材料や味付けが違いますが、よく知られているのは、かぼちゃと小豆を甘く炊いたものです。あずきは、邪気を祓うと言われ、陽の気を補なうかぼちゃを合わせて、運を呼び込もうという意味があります。

冬至七種
古くから日本では無病息災を願って冬至に食べられている「七種」があります。
「南京(なんきん)=かぼちゃ」「蓮根(れんこん)」「人参(にんじん)」「銀杏(ぎんなん)」「金柑(きんかん)」「寒天(かんてん)」「饂飩(うんどん)=うどん」です。
どの食材も「ん」が二つ付いており、たくさんの「ん=運」を呼び込めるという言葉の響きから食べられるようになったと言われています。

こんにゃく
こんにゃくは昔から「おなかの砂おろし」や「胃のほうき」などと言われてきました。
これは、食物繊維の豊富なこんにゃくを食べることで、体に不必要なもの(老廃物)を排出してくれるからです。昔の人たちは大掃除のあとには必ずこんにゃくを食べ、体内の毒さらいをしていたそうです。

鍋料理
寒い冬に食べたいあつあつの鍋料理。
鍋に入っている野菜は、煮込むことによって食物繊維が柔らかくなり、生よりも多く食べることができます。また、スープにはビタミン・ミネラルが溶けだしているため、スープも味わえる鍋料理は栄養の宝庫です。

年越しそば
大晦日に食べる年越しそばの風習は、江戸時代中期ごろに始まりました。
いくつか由来があり、細く長く伸びる蕎麦は、寿命を延ばし、家運を伸ばすという願いを込められている説。蕎麦は切れやすいので、一年の苦労や厄災をさっぱり断ち切って新年を迎えられる説。金銀細工師が、散らばった金粉を集めるのにそば粉を使っていたことから、金運を呼ぶという説。鎌倉時代、九州・博多の承天寺で、年を越せない町人に「世直しそば」と称してそば餅をふるまったところ、翌年から運が向いてきたので、「運そば」と呼ばれて大晦日に食べるようになったという説などがあります。
このことから翌年に持ち越さずに食べ終わるのが良いようです。